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ねずみとり-アガサ・クリスティー 感想

4.0
ねずみとり アガサ・クリスティー

概要

1954年出版の戯曲です。演劇の初演は1952年。もともとラジオドラマとして1947に執筆した「三匹の盲目ねずみ」を1950年に短編小説化したものを、さらに戯曲化したものです。同名の戯曲がすでにあったため、タイトルが「The Mousetrap / ねずみとり」に改められました。

あらすじ

モリーとジャイルズの夫妻はゲストハウスを始めることにした。最初の客としてやってきたのはそろって癖のある人物ばかり。なにやら不穏な空気が漂う中、あらたにやってきたのは刑事のトロッター。彼が言うには、街で起こった殺人の犯人が残したメモに、ここの住所があったとのこと。はたして客の誰かが犯人なのか、あるいは誰かが狙われているのだろうか。

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登場人物

ボイル夫人の嫌味な感じが素晴らしいですね。一言一言にとげがあり、本当にこんな人いるよなぁ、と思ってしまいます。このキャラは秀逸。クリスティーはこういう人を描くのが本当にうまいです。

他の登場人物たちもそれぞれ個性的で楽しいです。短編の「三匹の盲目ねずみ」には出てこなかったキャラクターが追加されています。この人物のおかげで話の深みが増したように感じました。

犯人

読んでいて、この人物を犯人にしたら面白いかなぁ、と思っていた人物がまさに犯人だったので、ちょっとびっくりしました。犯人の最後はちょっとあっけなかったかな。サイコパスな感じはありましたが、あっさり引き下がっちゃった感じがしました。

最後はもっと派手にアクションシーンとか欲しかったかもしれません。ですがそうすると、動機の面もあるし、この辺がいい落としどころかもしれないですかね。

トリック

犯人にかんするトリックは、上記で書いた通り、読みながら考えていたことそのままでした。なので推理小説をよく読んでいる人なら、予想がつくかもしれないです。

ですが、事件が解決してからのもう一つ(二つ?)の謎が明らかになるところは、とてもよかったです。事件が解決してほっとしたところで、さらにパッと明かりがつく感じ。とても爽やかでした。

感想

短編集「愛の探偵たち」にある「三匹の盲目ねずみ」を戯曲化したもので、先にそちらを読んでいたにもかかわらず、全然気づかずに、まったく新しい話としてこの「ねずみとり」を読んでいました。

読んでいる途中で、「似たような話があったよなぁ」とは思いましたが、結構クリスティーは同じようなシチュエーションを使いまわしたうえで、別の解釈を加えてくるパターンも多いので、そういうものかと思っていました。

話の内容としてはほぼ同じはずですが、短編の「三匹の盲目ねずみ」より、こちらの「ねずみとり」の方が面白かったです。会話中心な分、対決感がより増していてることや、短編集から登場人物が一人加わったこと、そしてダブルミーニングがより適切に使われていたことが、理由ではないかと思います。

劇場でロングランを続けられるのも納得の良作です。

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