概要とあらすじ
1922年のトミー&タペンス長編4作中1作目です。
ロンドンで偶然出会った、トミーとタペンス。二人はともにお金がなかったので、「青年冒険家商会」を作ってお金儲けを始めようと思った矢先に、さっそくエドワード・ウィッティントンなる人物からタペンスは声をかけられた。しかし、あまりに胡散臭い内容だったので、断ろうと偶然耳にした「ジェーン・フィン」という偽名を使ったとき、ウィッティントンの顔色が変わって…という話。
みどころ
タペンスはかわいいし、トミーもなかなか口が立ちます。二人の会話がとても面白いです。ロンドンで偶然出会い、近況報告をして、「青年冒険家商会」を作るに至るまでの流れがとても楽しいです。
事件が起こってからは、トミーとタペンスは別行動をとることが多いです。二人のやり取りをもっと見たい自分としては、少し残念です。
ですが、話の展開が速いです。次から次と事件が起こります。トミーもタペンスも行動的です。推理小説によくある、尋問の繰り返しで飽きてしまうということはありません。
タペンスがヴァンデマイヤー夫人のところに潜入するところや、トミーが敵のアジトから脱出するところがお気に入りです。とにかく事件が次から次に起こるので、読み終わった時にはお腹いっぱいになります。
ハラハラドキドキの展開が続きます。
登場人物について
登場人物はみんな魅力的です。とはいえやはりなんといっても、トミーとタペンスです。この二人に好印象です。「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」のボビイとフランキーのコンビも同じようなキャラですが、私的にはトミーとタペンスの方が好きです。
トミーの方に常識人的なところがあるのがいいのでしょう。品を感じます。ボビイはあまりにもぶっ飛んでいて、収拾がつかなくなっていましたからね。
途中はそれほど感じませんでしたが、ハーシャイマーもいいやつでした。あとはジェームズ卿とカーター氏がキャラ被りしている感じがあって、少し混乱しましたかね。
犯人について
ブラウン氏の正体については、完全に騙されました。クリスティーの術中にはまった感じです。
ですが、これはそういう風に書いてあるから仕方がないです。むしろ正体を見抜けた人がいたなら、その人は見方がゆがんでいるでしょう。
感想
面白かったです。ですが、やはり少々取っ散らかった印象もあります。
トミーが敵に捕まったのは分かります。でもなんでトミーが助かった後に、タペンスが敵に捕まっているのか。タペンスを助けに向かったハーシャイマーのところに突然トミーが現れるのも、なんだかなぁという感じです。
なんかいろいろ都合のいい展開があります。ですが、そんなことはどうでもいいです。これはトミーとタペンスの活躍をめでる作品です。そう考えると、多少のアラはどうでもよくなってきます。そんな作品です。
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