概要とあらすじ
1930年発表のポアロもの戯曲です。
科学者のクロード・エイモリーはある発明をしたのだが、その設計図が金庫からなくなってしまった。犯人は屋敷内にいる誰かだ。部屋の明かりを消して、その間に設計図を返すようクロードは言うのだが、再び明かりがついたときに、クロードはコーヒーに入った毒で死んでいた…
みどころ
クロードを殺したのは誰かという謎のほかに、発明の設計図はどこに隠されたのかという謎があります。ついつい犯人探しに目を奪われがちですが、設計図の隠し場所のことを常に頭の片隅において読み進めるのがおすすめです。
登場人物
どの登場人物もいかにもクリスティ的な人ばかりで、読んでいて安心感がありました。ただあまりそこまで掘り下げがなかったかなぁ、とも感じました。
中盤のキャロラインとカレリ博士のやり取りは、なかなか面白かったです。
犯人トリック
犯人は分かってしまいました。というか普通に読むと、この人物が犯人としか読み取れません。そこを裏切ってくるのかと思ったら、そのままだったという点で、少し肩透かしを食わされた感じです。
設計図の隠し場所については、確かに盲点です。序盤からなんどもそこに目を向けさせていましたので、驚きはありました。ですがさすがに、犯人の謎と比べると設計図の隠し場所では、インパクトは小さいです。
感想
場面が暗くなって、明かりがつくと登場人物の一人が死んでいた、という展開は、舞台だと映えるだろうと思います。実際に舞台で見てみるとまた感想は変わるかもしれません。ただ、文字で読むとぼちぼちの出来かなぁ、という印象です。
「ブラック・コーヒー」は、評論家チャールズ・オズボーンによって小説化もされており、そちらも読みました。小説の方には少し肉付けがされており、その部分が割と面白かったです。クリスティの研究家ということもあり、過去作にも触れられている部分では、ニヤリとさせられる場面もありました。
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