概要とあらすじ
1955年のノンシリーズです。
科学者ベタートンが行方不明になり、その妻オリーヴは飛行機事故にあってしまう。一方夫と別れ、子を亡くしたヒラリー・クレイヴンは自暴自棄になっていた。彼女はオリーヴに成りすましてベタートンの行方を探るという任務に就くことを承諾するが…という話。
みどころ
ストーリーが分かりやすく、とても読みやすいです。「茶色の服の男」や「秘密機関」といった初期の冒険スリラー物は、展開がごちゃついて読みにくいところもありましたが、「死への旅」はそんなことはありませんでした。
ベタートンはどこに消えたのか? その場所に科学者が集められた目的は? 首謀者の正体とは? などの謎が後半で一気に明らかになります。そしてすべてが解決したかと思わせておいて、最後にもう一つ驚きが待っています。
この展開がクリスティーらしいサービス精神が感じられて、楽しさを覚えました。
登場人物について
アリスタイディーズが面白そうな人物に感じました。ですが
「茶色の服の男」のサー・ユースタス・ペドラーとキャラが被る上に、それよりもキャラが弱く感じました。
全体的に登場人物のキャラが薄いので、その分読みやすいと言えば読みやすいです。
感想
決してつまらなかったというわけではなく、読んでいる途中はそれなりに面白く感じていました。最後の展開も驚きがありました。そして最後には、いつものクリスティーらしいほっこりとしたエピローグがあります。
「茶色の服の男」や「秘密機関」と比べて話のまとまりは良く、とても読みやすかったです。でも不思議なことに、すべて読み終わって振り返ると、心に残るものがあまりないんですよね。登場人物のキャラが薄いのが原因でしょうかね。
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