その推理小説を買う人の半分は、その物語を読むために買い、他の半分は探偵たちに会うために買うという話を見たことがあります。それを見たとき、「探偵たちに会うために本を買う」ということの意味が、正直分かりませんでした。
自分の一番好きな作家はアガサクリスティーなのだですが、「ポアロ」がいるから好きなのではなく、推理小説として面白いから好きなんです。
ところがこの「殺人方程式」を読んで「探偵たちに会うため」ということが、少し分かったような気がします。トリックや、意外な犯人もさすが綾辻ということで、なかなかなものでしたが、何より登場人物のキャラが良くたっています。
特に明日香井叶、明日香井響、深雪、岬映美そして尾関弘之刑事。全ての人物に興味ある経歴が語られ、思い入れを持つことが出来ます。そしてそれがそのまま、犯人の意外性につながっています。
途中出てきたニュートンの運動方程式は、ちんぷんかんぷんでしたが、そんなことは全く問題なく面白かったです。
ただ、もったいないのはタイトルの「殺人方程式」です。その方程式自体、ちんぷんかんぷんでした。タイトルは他のものにした方が良かったのではないでしょうか?
事実「殺人方程式」というタイトルに縛られて無理やり使ったであろう、殺人方程式Ⅱの「鳴風荘事件」で使われる計算は、単なる足し算と引き算だったわけだし。
さらにそのタイトルのせいで、こんなにキャラのたった「叶」と「響」の物語の続きを、読むことがなかなか出来ないとしたら、こんなもったいないことはありません。
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