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なぜエヴァンズに頼まなかったのか?-アガサ・クリスティー 感想

3.0
なぜエヴァンズに頼まなかったのか? アガサ・クリスティー

概要とあらすじ

1934年の作品。

「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉を残して亡くなった男の最期をみとったボビイと、彼の幼友達であるフランキーが、謎を探るという物語。

みどころ

とてもコミカルな展開です。ボビイもフランキーも魅力的な人物です。二人が仲良く喧嘩しながらも、あれこれと動き回って、楽しく読むことができます。

最後は映画的な結末で、なんか幸せな気分で読み終えることができました。また再度読み返すと、的を外したボビイとフランキーの推理もところどころ正しい指摘をしているのも面白いところです。

「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉の意味が分かる場面は、面白かったです。たまたまフランキーが発した言葉が、その謎の言葉に類似することによって、意味が分かるという展開。よかったです。

不満点

しかし、なんかガチャガチャした印象です。お互いもうちょっと落ち着いてもよかったかな。あるいはどちらかが抑える役回りにするとか。両方ともがぶっ飛んでいますので、常にうるさく感じます。

「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉ですが、その言葉の謎がわかってしまうと、死んだ男がなぜその言葉を死の間際に言ったのかが、疑問になります。ダイイングメッセージにもなっていません。そこが少しもやっとします。その言葉を発するときの演出に問題があったように感じます。

前半馬鹿にされていたバジャーが、後半で活躍するのが面白いのですが、活躍の場面がそこだけなのがもったいない。あの後は、ボビイ、フランキー、バジャーの三人組で行動する展開でもよかったのではないでしょうか。

不満な点はほかにもあります。二つ目の殺人のときのあれは、偶然過ぎでしょう。あれがなかったら犯人はどうしていたのか。そこの整合性がないのも残念です。

感想

「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉が、事件の本質に絡んでいるとは言い難いところと、雑然とした展開が少しマイナスに働きます。やりようによっては、もっと面白くできたのではないかという少し残念な作品です。

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