概要
1934年のノンシリーズ作品です。
主人公の一人ボビイ・ジョーンズですが、彼の名前は当時有名なプロゴルファーからとられました。それを踏まえて読むと、冒頭でボビイがへたくそなゴルフプレイをするのが可笑しいですね。
あらすじ
ゴルフを楽しむ、もと海軍軍人のボビイ・ジョーンズ。ミスショットしたボールを追いかけて、断崖の割れ目から下をのぞき込むと、男が倒れているのを発見した。呼吸はあるが、意識を失っているようす。しかし男は突如意識を取り戻し、発したのが「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉だった。
みどころ
とてもコミカルな展開です。最後は映画的な結末で、なんか幸せな気分で読み終えることができました。また再度読み返すと、的を外したボビイとフランキーの推理もところどころ正しい指摘をしているのも面白いところです。
「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉の意味が分かる場面は、面白かったです。たまたまフランキーが発した言葉が、その謎の言葉に類似することによって、意味が分かるという展開もよかったです。
登場人物
- ロバート(ボビイ)・ジョーンズ(牧師の四男坊、元海軍軍人)
- トーマス・ジョーンズ牧師(ボビイの父)
- フランシス(フランキー)・ダーウェント(伯爵令嬢、ボビイの幼馴染)
- バジャー・ビードン(ボビイの親友)
- アレックス・プリチャード(死んだ男)
- ケイマン夫妻(プリチャードの妹夫婦)
- ヘンリイ・バッシントンーフレンチ(地方名家の当主)
- シルヴィア・バッシントンーフレンチ(ヘンリイの妻)
- ロジャー・バッシントンーフレンチ(ヘンリイの弟)
- ジャスパー・ニコルソン博士(精神病院を経営する医者)
- モイラ・ニコルソン(ニコルソン博士の妻)
- ジョージ・アーバスノット(フランキーの友人、医者)
- アラン・カーステアーズ(探検家)
- ジョン・サヴィッジ(億万長者)
- フレデリック・スプラッゲ(弁護士)
- ロバーツ夫人(ジョーンズ家の家政婦)
ボビイもフランキーも魅力的な人物です。二人が仲良く喧嘩しながらも、あれこれと動き回って、楽しく読むことができます。彼らのキャラクターが抜群に立っていて、それで読ませる作品かと思います。
不満点
しかし、なんかガチャガチャした印象です。お互いもうちょっと落ち着いてもよかったかな。あるいはどちらかが抑える役回りにするとか。両方ともがぶっ飛んでいますので、常にうるさく感じます。
「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉ですが、その言葉の謎がわかってしまうと、死んだ男がなぜその言葉を死の間際に言ったのかが、疑問になります。ダイイングメッセージにもなっていません。そこが少しもやっとします。その言葉を発するときの演出に問題があったように感じます。
前半馬鹿にされていたバジャーが、後半で活躍するのが面白いのですが、活躍の場面がそこだけなのがもったいない。あの後は、ボビイ、フランキー、バジャーの三人組で行動する展開でもよかったのではないでしょうか。
不満な点はほかにもあります。二つ目の殺人のときのあれは、偶然過ぎでしょう。あれがなかったら犯人はどうしていたのか。そこの整合性がないのも残念です。
感想
「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」という謎の言葉が、事件の本質に絡んでいるとは言い難いところと、雑然とした展開が少しマイナスに働きます。やりようによっては、もっと面白くできたのではないかという少しもったいないなぁと思う作品です。


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