概要とあらすじ
1956年のポアロ長編33作中27作目。
田舎屋敷の園遊会で犯人捜しのゲームをしていたら、死体役の少女が本当に殺されていた。さらに屋敷の女主人も失踪して…という話。
登場人物について
登場人物はそれなりに描写されていますが、それぞれ何が少し物足りないです。何人かの人物は、必要ないんじゃないか、と思ってしまいます。もっと膨らませられるような気がします。
ハティもフォリアット夫人もなんか薄味なんですよね。スタップス卿なんかは無味無臭です。もっと嫌味な感じで描くか、逆にすごくいい人に描くかすればいいのに、と思いました。
でも、オリヴァ夫人はなかなか面白い。「マギンティ夫人は死んだ」の時は、それほどでもなかったのですが、こちらでは魅力的に描かれています。
マーリンの描写がもっと欲しかったです。この子をもっと有効に使えれば、いろいろ面白くできたんじゃないかと思います。
かと思うと、それって必要な話なの? と思うこともあります。スタップス卿とサリイのあれって必要な描写なのかな?
トリックと犯人について
トリックについてですが、犯人の行動が大変じゃありませんかねぇ。あっちいったり、こっちいったり。そしてその行動の全ては本当に必要なのでしょうか。
「ここでは世界中の言葉に不自由せんですよ。ああ、なんだね、ハティ?」卿は窓から姿を消した。
ここで使われているトリックのは、ディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」と同系統のトリックですね。ですが、「死者のあやまち」の方がうまく使われているように思います。
そうかー、そうなるよなぁ、という感想。普通に読んで普通に騙されました。
感想
読み返すと、伏線があちらこちらに書かれてあることに気づきます。これもクリスティ小説の魅力ですね。それはこの小説でも存分に味わえます。
あと、終わり方はかなり好きです。あのセリフはかなり格好いいです。
面白く読めましたが、後々思い返すとなにやら微妙な思いがモヤモヤがわいてくる、そんな話です。一回面白く読めますが、何度も繰り返し楽しめるような作品ではないかなぁ。
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