概要とあらすじ
1942年のミス・マープル長編12作中2作目です。
ある朝、バンドリー夫人が起きると、何やら騒がしい。なんと、バンドリー氏の書斎に見知らぬ女性の死体が転がっている。彼女はいったい誰なのか? そしてなぜそんなところで死んでいるのか? という話。
みどころ
第一章のバンドリー夫人の描写が面白い。
少しとぼけた感じの、かわいらしいおばさんという印象。そんなバンドリー夫人とマープルがタッグを組んで、容疑者たちが集まるマジェスティック・ホテルに乗り込み…という展開を期待させられます。
不満点
ですが、実際捜査を行うのはメルチェット大佐で、マープルとバンドリー夫人の活躍はあまり見られないんですね。
さらにコンウェイ・ジェファーソンがヘンリー・クリザリング卿を呼び寄せて、彼もいろいろ調べるのですが、それって必要なんでしょうかね。全部マープルにやらせればいいじゃないかと思いました。
結果マープルは、最後の方にちょこちょこっと出てきて解決します。そしてバンドリー夫人は、あまりその解決にかかわっていません。とてもいいキャラなので、ちょっともったいないんじゃないかなぁ、と思いました。
トリックについて
トリックはわかりやすいです。ヒントがわかりやすく出されていました。むしろあからさまな感じも受けます。いつものクリスティはもう少しうまく隠していたのではないかと思います。ちょっと今回は稚拙な感じがします。
ある事象において、利益を受ける立場と損をする立場がありますが、それがある条件でガラッとひっくり返るというのはなかなか面白かったです。ですが、そのパターンはほかの作品でもありますよね。
感想
クリスティには珍しいですが、純粋に推理パズルとして楽しむべき作品なのではないかと思います。私は死体の謎は解けましたが、なぜそんなことをしたのかという理由まで届きませんでした。
論理的に考えれば、真相に届いていたなぁ、という悔しい気持ちは持ちました。ですが私がクリスティに期待しているのは、そこじゃないんですよね。ドラマを期待すると少し残念に思うかもしれません。
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