概要とあらすじ
1952年のミス・マープル長編12作中5作目です。
旧友のキャリイのもとを訪れたミス・マープル。そんな折、キャリイの夫が妄想癖の少年に襲われるが、なんとか事なきを得た。しかしその事件の裏に、別室で殺人事件が起こっていた…という話。
登場人物について
登場人物の血縁関係が、入り乱れています。
原因はキャリイで、彼女は三回も結婚しています。一人目の夫とは死別。この夫は大金持ちなので、キャリイは大金持ちになります。二人目は夫が浮気をして別れたあと、事故死します。そして今の夫です。彼は博愛主義者らしいですが、どうやら度を越している様子。
なにやら不穏な空気が流れます。
最初の夫との間に子供がいますが、それとは別に養子もいます。最初の夫は再婚で、前に別の女性との間に子供がいます。二人目の夫にも最初の結婚時に子供がいて、その子供たちも登場します。とりあえずややこしい。
ですが、それらの登場人物とマープルが割と早い段階でじっくり話をすることがあり、登場人物の整理はまだやりやすかったと思います。
みどころ
マープルと登場人物たちが話をすると言いましたが、そのくだりが結構面白い。登場人物は互いが互いを嫌っており、その悪口をミス・マープルにぶつけます。
人の良い、人畜無害そうなばあさんになら、別に言っても構わないだろう、といった感じ。マープルのひょうひょうとした感じがなかなか面白いです。
トリックについて
トリックは正直子供だまし。読んでいて、違和感がありますので、見抜きやすいでしょう。あの場面はもう少しどうにかならなかったのだろうか。キャリイの純粋さを出したかったのでしょうが、それのせいで、緊迫感が薄れています。
感想
最後のお涙頂戴的な、犯人の結末はどうなんでしょう。
キャリイがどこか人間離れした調子なので、あまり心に残るものがありませんでした。最終的に全て丸くおさまって、めでたしめでたしとなりましたが、何かモヤモヤするなぁ、という印象です。
原因はやはりキャリイです。彼女をもっと上手に動かすことができたら、もっといい作品になったと思います。
マープルの学生時代の描写が少しあったので、その辺は楽しめました。マープルは看護婦になりたかったんですね。
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