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復讐の女神-アガサ・クリスティー 感想

復讐の女神 アガサ・クリスティー

概要とあらすじ

1971年のミス・マープル長編12作中11作目です。

かつてともに犯罪を解決したラフィール氏。彼の訃報を、マープルは新聞で知った。しばらくの後、ラフィール氏の弁護士より、彼の遺言の内容をマープルは伝えられる。彼の頼みを聞いてくれたら遺産の一部をマープルに渡すということだそうだ。承諾したものの、何をすればいいのかわからないマープル。やがてラフィール氏より、指示の手紙が届く…という話。

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みどころ

何をしてもらいたいのかわからない、というマープル。そこに手紙での指示があったり、ヒントを与える人物があったりと、徐々に謎が明らかになってくるというミステリーツアー的な面白さがあります。

エスター・ウォルターズとの会見は、心が温まる思いです。「カリブ海の秘密」の最後では、背中を向けていた彼女ですが、それなりに幸せそうでなりよりです。

そしてやはり一番は、犯人とマープルの対決シーンです。ここはかなり格好いいです。

犯人とトリックについて

犯人は「そっちかぁ」という感じです。怪しい人物がたくさん出てきますので、誰が犯人であってもおかしくはない感じです。

トリックは予想がつきました。そういうお膳立てがあれば、まぁそうなるでしょうという感じです。ですが、なぜそんなことをしたのかという理由は、面白く感じました。そういう心理状態だったので、そういうことをしたのかというのが、きちんと納得できます。

他作品とのつながり

「カリブ海の秘密」とは直接に繋がっています。依頼人であるラフィール氏は、カリブ海の秘密で共闘した仲間です。それ以外にもその登場人物であった、エスター・ウォルターズも出てきますし、その思い出もいろいろ語られます。

まず「カリブ海の秘密」は先に読んでおくべきでしょう。

その他、前作の「バートラム・ホテルにて」や、「書斎の死体」について触れられている場面もあります。ここら辺は余裕があれば、読んでおくといいかもしれません。

感想

何が起こっているのか、何が起こっていたのか全く分からないという状況は、前作の「バートラム・ホテルにて」と同じような展開です。ただ、ミステリーツアーっぽい仕掛けがあるので、多少「復讐の女神」の方が読みやすくは感じました。

とはいえ、同じような話が何回か繰り返される感じで、正直退屈さは感じます。

「カリブ海の秘密」の続編的な感じで始まるのに、結果としてはそれほどつながりは感じられませんでした。前作の登場人物をもっと事件に絡めてもらえた方が、より楽しめたような気がします。

いつものマープルものは、あまりマープルが表に出てこないですが、この作品はマープルが表立って、ガンガン行動するので、それはそれで楽しいかも。犯人との対決シーンは、シリーズの中で一番好きです。

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