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わらの女-カトリーヌ・アルレー 感想

4.5
わらの女 カトリーヌ・アルレー

概要とあらすじ

「悪女書きのアルレー」と称される、カトリーヌ・アルレーの第二作。1956年の作品です。

戦争で家族も、友達も、財産も失ったヒルデガルデ。翻訳をして日々過ごしていたが、富へのあこがれは忘れていなかった。そんな折、億万長者の結婚相手を求めているという、新聞広告を見る。これはチャンスだと、それに応募したヒルデガルデだが…という話。

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みどころ

シンデレラストーリーからのサスペンス、そして…と一冊で色々楽しめます。登場人物は少ないので、とても読みやすいです。

特にカール・リッチモンドが面白いです。彼のやっていることは、まんま「カイジ」の兵頭会長のそれです。やっていることはめちゃくちゃですが、コミカルで笑えます。そしてヒルデガルデに求婚するところなんかは、とてもキュートです。

そして第二章からの急展開。本当にハラハラします。そしてだんだん背筋が寒くなってきてからの絶望です。最後の方は胸がキューっとします。

ここからはアントン・コルフの独壇場です。普通のことを話しているのに、恐ろしい。そしてそれが格好いいまであります。

感想

本当に面白い。第一章の終わりは、多少の不穏な空気はありますが、ハッピーエンドです。なんとなくほっこりすらします。もうこれで終わりでいいじゃないか、とすら思います。

第二章は本当に残酷です。不安から疑惑、疑惑から確信、そしてその後…。ヒルデガルデに感情移入して読んでいると、本当にへとへとになります。

でもこういうことって、程度の差こそあれ世の中にありますよね。詐欺とかそういうのではなくても、「なんか聞いていたのと、話が違うじゃない」みたいなやつ。そういうことを踏まえてこの話を読んでいくと、自分事にように感じられて、かなりつらいです。

たまには、こういう「イヤミス」的なものもいいんじゃないでしょうか。

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