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運命の裏木戸-アガサ・クリスティー 感想

2.5
運命の裏木戸 アガサ・クリスティー

概要とあらすじ

1973年のトミー&タペンス長編4作中4作目で、クリスティが最後に執筆した作品です。

引っ越し先に残されていた本に暗号が隠されていた。それを解読するとなんと「メアリ・ジョーダンの死は自然死ではない」と書かれてあった。メアリ・-ジョーダンとは何者なのか? そしてなぜ、誰に殺されたのか? トミーとタペンスが調査に乗り出す…という話。

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みどころ

トミーとタペンスの会話が面白いです。タペンスのかわいらしさと、トミーの暖かさが感じられるやりとりにほっこりします。ただこれがずっと続くので、中盤には食傷気味になります。ところがそれが一周回って、まただんだんと面白くなってきます。

この夫婦は一生こんな感じなんだろうなぁと思うと、微笑ましいです。

あとはハンニバルの登場場面が面白いです。「もの言えぬ証人」のボブもそうですが、クリスティの描く犬は、様子が想像できてとてもかわいいです。

「NかMか」の話がちょこちょこ出てきます。ブレンキンソップ夫人の名前が出るだけで笑えますね。特にベティのその後について語られているのがうれしいです。

登場人物について

トミーとタペンスはもちろん魅力的ですが、今作品ではなんといってもハンニバルです。ハンニバルが出てくるだけで、わくわくします。ハンニバルの一挙手一投足が目に浮かぶようで、とても楽しいです。デボラもちょい役でしたが、いい味を出していましたね。

ミス・コロドンは面白そうな人物でしたが、あまり活躍の場面がありませんでした。ちょっと残念でした。ベレズフォード家以外の登場人物の印象はあまりないですね。

犯人とトリックについて

犯人もトリックも隠す気がないでしょ。もう少しうまくやっていれば、もっと緊張感ある場面になったと思うのですが、なんとも締まりのない犯人との対決になったように感じます。ちょっともったいなかったかなぁ。

感想

正直話はダラダラとしか進まないし、同じことの繰り返しも多々あります。ですが、クリスティの最後の作品という温かい目でみると、なんかいろいろと許せてしまいます。

引っ越し先に残されていた本を整理するときに出てきた書名は、クリスティが幼少期に読んだ本なのでしょう。知らない書名は検索して「クリスティはこんな本を読んでいたんだなぁ」と感慨深いです。

ミステリーで評価するのは野暮でしょう。クリスティの遺作としてみると、彼女のパーソナルな部分が多く書かれていて、その意味で楽しく読めると思います。

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