概要とあらすじ
1930年のミス・マープル長編12作中1作目です。
セント・メアリ・ミードの牧師館で、村の判事が射殺されます。犯人と思われる青年が自首したので、万事解決かと思われたが…という話です。
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犯人について
いかにも怪しい人物こそ怪しくなく、怪しくない人物こそ怪しいというのは推理小説の定番です。そして推理小説を数多く読んでいれば読んでいるほど、多くのパターンに遭遇し、その結果、作者の意図を先読みしてしまうことになります。そこをもう一歩進めて裏切ってきたという作品でしょうか。
犯人が判明した瞬間は、「あっ、そっちのほうね」と意表を突かれました。
登場人物について
リドレイ、ウェザビー、ハートネルの三人のおばさんたちは、面白そうな雰囲気はありましたが、もう一歩足りない印象です。デニスとグリゼルダ、あとはレティスもよさげな感じがしましたが、それほどしっかり描かれなかった感じがあります。
結果として一番魅力的だったのは、マープルでしたが、彼女は探偵ですので魅力があって当然です。逆にそこに目が行ってしまうようでは、他の登場人物たちの魅力が足りないと言わざるを得ません。結果的に思い入れが少なくなり、真犯人を指摘されても正直ピンと来なかったですね。
感想
殺害現場の部屋の見取り図があるのですが、これがアクロイド殺しのものとそっくりです。さらに語り手の牧師が、「アクロイド殺し」の語り手である、シェパード医師と被ります。
トリックはいまいち。子供だまし感があります。でも正直そこはメインではないでしょう。メインはやはりアクロイド殺しの本歌取り(?)かな。
アクロイド殺しの内容を頭によぎらせつつ、それを裏切ってくるところが、作者の意図するところでしょう。
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