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水車館の殺人 感想

4.0
綾辻行人

館シリーズの第2弾。現在と過去が折り重なって話が進んでいきます。

第1章での現在の仮面の描写と、第2章での過去の仮面の描写がほとんど同じで、よくよく見直してみると現在の描写では「私」なのに対して、過去の描写では「彼」になっています。

ははぁ、これがポイントだな、と思いつつ読み進めていきます。やがて過去では殺人が起こり、それを現在の「島田」が推理する。この辺の展開は非常に面白いです。

やがて現在の方でもなんやかんやあって、そして殺人が起こります。前作の「十角館の殺人」と比べ、人物描写がうまくなっている気がします。それぞれの人物に特徴があって誰が誰なのかが分からないというのが、この「水車館の殺人」にはありません。

もちろん十角館の殺人の場合は、あえて人物描写をきっちりしすぎないことがトリックの一つであったのかもしれないですが・・・

最も格好良かったのは、最終章での島田の登場シーンです。あれは本当に格好良かった。ちょっととぼけた感じもすごく良かった。そこから語られる推理の内容も問題なく、とても面白く読むことが出来ました。

終わり方も格好良く、場面が見える推理小説だったなあという感想です。

そして読み終わってしばらくたつと、また別の感想が浮かんできます。

現在と過去のが折り重なって進んでいくという形式。仮面という道具立て。現在では「私」だが、過去では「彼」。ちょっと頭を働かせたら、犯人を見抜けていたなぁと。

しかしこの「水車館の殺人」の場合は、犯人を見抜いてしまったら面白さが半減するだろうし、素直に騙されていて良かったなぁというところでしょうか。

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