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【感想】「ゴルフ場殺人事件」-ポアロにライバル登場! ヘイスティングズも敵に?

4.0
ゴルフ場殺人事件 アガサ・クリスティー

概要

1923年のポアロ長編33作中2作目。

当時あった訴訟事件をもとに書かれた作品のようです。またこの作品が書かれたとき、夫のアーチボルド・クリスティーがゴルフにはまっていたそうです。結果そのゴルフが離婚の遠因になったようで、その意味でも興味深いですね。

あらすじ

富豪ルノールから助けを求める手紙を受け取ったポアロ。急いで駆けつけるポアロだったが、彼が見たのは、ゴルフ場で刺殺されたルノールの死体だった…

5項目評価

ストーリー(8点)

南フランスの海辺の町で起きる富豪殺害事件を軸に、「過去の事件」「家族の秘密」「恋愛」「誤解」が複雑に絡み合う構成。 読者レビューでも「事件が絡みまくって複雑」「二転三転どころではない」と評価されており、 荒削りながらも勢いのあるストーリー展開が特徴。

意外性(7点)

犯人像は巧妙に隠されており、 「最後までわからなかった」という感想が複数確認できる一方、 「偶然に頼りすぎている」「複雑に見えるが偶然の積み重ね」という批判もある。 そのため、意外性はあるが“構造的な美しさ”は後期作品ほどではない。

キャラクター(9点)

本作は「ヘイスティングズの恋が大きな見どころ」とされ、 「ヘイスティングズ回」「運命の恋」「少年のような姿が魅力」と高く評価されている。 また、ポアロとジロー刑事の対決も読者から強い支持があり、キャラクターの魅力はシリーズでも屈指。

ユーモア(8点)

ヘイスティングズの惚れっぽさ、ポアロの皮肉、 ジロー刑事との“少々大人げない”推理合戦など、 ユーモア要素が多く、読者からも「面白い」「和む」との声が多い。 シリーズ初期らしい軽快さがある。

トリック(7点)

読者レビューでは、「目新しさはない」「偶然性が多い」「複雑だが不自然な部分もある」 といった評価が確認できる。 ただし、ミスリードの“見せ方”がうまく、読者を引き込む力は強い。

見どころ

有名な作品ではないので、それほど期待せずに読み始めましたが、なかなかの良作です。

ライバル探偵としてジロー刑事が出てきます。まぁ、完全に噛ませ犬ですが、ポアロとジローのやり取りが面白い。ポアロとヘイスティングズのやり取りも、相変わらずです。ヘイスティングズがポアロではなく、ジロー刑事の方に流れそうになる場面も楽しいです。

いつものようにわけのわからないことに注目しているポアロですが、それが後になって大事なことだとわかります。理解が追い付かないヘイスティングズを、導こうとするポアロの優しさもいいです。

登場人物

  • ポール・T・ルノール(南米の富豪)
  • エロイーズ・ルノール(ポールの妻)
  • ジャック・ルノール(ポールの息子)
  • ガブリエル・ストーナー(ポールの秘書)
  • ドーブルーユ夫人(マルグリット荘の女主人)
  • マルト・ドーブルーユ(ドーブルーユ夫人の娘)
  • シンデレラ(アクロバットの芸人)
  • リュシアン・ベクス(警察署長)
  • オート(予審判事)
  • ジロー(パリ警察の刑事)
  • エルキュール・ポアロ(私立探偵)
  • ヘイスティングズ(ポアロの友人)
ゴルフ場殺人事件 人物相関図

「スタイルズ荘の怪事件」と同様に、ポアロとヘイスティングズが目立っています。あとはポアロのライバル探偵、ジロー刑事の存在は楽しいですね。

ただその他の人物たちは案外薄味で、のちの作品で見られるような、被害者周りや犯人周りの人間ドラマはあまり感じられなかったです。唯一シンデレラはキャラが立っていましたが、それでもポアロとヘイスティングズ以上の存在感はなかったですね。

感想

展開はまさに「The 推理小説」という感じ。あれやこれやを嗅ぎまわって、あーでもない、こーでもないと捜査します。ジロー刑事とポアロとの対比があって、割と退屈せずに読み進めることができました。

結果がわかって、後はその後始末かな、と思わせておいて、もうひとひねりしてきますので、結構驚かされました。真犯人がわかったときは、ぞっとしました。

「ポアロ VS ヘイスティングズ」みたいな場面もあり、そういった面でも意外性があってよかったです。古き良き、犯人当てクイズ的な小説ですかね。処女作である「スタイルズ荘の怪事件」の正当続編というべき良作で、「アクロイド殺し」の前に、読んでおいてもらいたい作品でもあります。

期待せずに読んだのですが、「思ったより面白いぞ。結構掘り出し物だったなぁ」という感じでした。

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