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死人の鏡-アガサ・クリスティー 感想

4.0
死人の鏡 アガサ・クリスティー

1937年の短編集です。ポアロものが4編あります。「厩舎街の殺人」と「死人の鏡」がともに自殺を扱っていて、その結論が違っているのが興味深いです。それぞれの作品に見どころはありましたが、一番面白かったのは「砂に書かれた三角形」ですかね。

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厩舎街の殺人

ブレンダーリース家に帰ってきたとき、アレン夫人が拳銃自殺している状況なのを発見した。しかし、警察が調査すると、どうもおかしい。傷と拳銃の状況が合わない。そこでポアロが調査を開始する…

感想

スーツケースの謎が明かされるところが面白かったです。ジャップと同じように、きれいに引っかかりました。ポアロの捜査も的を外しているようで、ちゃんと射ているところもよかったです。

謎の盗難事件

メイフィールド卿の自宅から、軍の機密情報が載った設計図が盗まれてしまった。盗んだ犯人は、その時パーティに参加していた人物の、誰かの可能性が高いのだが…

感想

ヴァンダリン夫人の女中、レオニーが悲鳴をあげた理由が面白かったです。幽霊を見て驚いたときの手の位置という発想はすごいですよね。ヴアンダリン夫人とポアロのやり取りも、なかなかひりひりします。

死人の鏡

ジャーヴァス・シェヴニックス=ゴア卿より、ハムバラ荘にくるよう電報を受け取ったポアロが到着すると、出迎えたのは彼が来ることを知らされていない人物だけだった。夕食の時間になっても姿を見せないジャーヴァスを心配して書斎に行くと、そこには銃で自殺している姿が…

感想

登場人物が多すぎで、内容を把握するのに大変です。人間関係の複雑さはいくらでも面白くなりそうでしたが、この長さでは尺が足りないと思いました。長編でやるべき内容でしょう。

でもそうすると、使われているトリックが見合わなくなるかな。物理トリックでそれなりに面白いのですが、長編のメイントリックとしてやられると肩透かしになるかも。

サタースウェィト氏が登場しますので、先に「謎のクィン氏」と「三幕の殺人」を読んでおくといいですね。特に話に出てくる「烏の巣事件」は「三幕の殺人」のことです。

砂に書かれた三角形

休暇をゆっくり過ごしたくて、ロードス島にやってきたポアロ。しかしチャンドリー夫人をめぐってその夫とゴールド氏がもめる。ゴールド夫人はポアロに助言を求めるが…

感想

とても面白かったです。「白昼の悪魔」や「ナイルに死す」に似たような雰囲気がありました。そして最後のポアロの言葉にゾクッとします。ちょっとしたホラーですね。

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