「エラリィ」がでてきて「カー」がでてきて、「ポゥ」「ルルゥ」がでてきた。そこに「アガサ」「オルツィ」ときて正直がっくりときました。
綾辻行人は京大の推理小説研究会出身との事で、頭でっかちのミステリマニアの作品なのかなぁと、うんざりしつつも読み進めます。
まぁ読んでいくうちに、そのへんてこな名前にも慣れてくるだろうと、思い頑張っておりますと、誰かが誰かのことに好意を持っておったが振られてしまい、そのあてつけに別の誰かにちょっかいをかけたり、そのちょっかいをかけられた誰かと誰かが幼馴染だったり、誰かが風邪を引いていたり、誰かがこの催しの主催だったして・・・誰が誰なのかさっぱり分からない・・・
やがて場面が変わって第2章に入ると、一転して「江南孝明」と普通の名前が出てきてほっとします。江南は「かわみなみ」なのだが「コナン」とも読め、彼のニックネームが「ドイル」と分かりました。
そこに彼の友達の「守須(もりす)」という人物が出てきます。コナン・ドイルにモーリス・ルブランですか・・・・・・なるほどねぇなどと読み進めておりますと、人がバンバン死にはじめます。
やっぱりこうならないと推理小説は面白くないねぇ、などと思いつつ、しかし全く犯人の見当はつかず読み進めていくと、島の内外であれやこれやの推理合戦が行なわれ始めました。
この辺のところは非常に興味を持って読み進められました。どうも怪しいのは「守須」なる人物・・・これ以上かぎまわるのは良くない、とか突然言い出したり、なにやら怪しいです。
でも何を持って彼が犯人だといいきれるわけでもなく、どうなるのかなぁと思っていたら・・・あらびっくり、
「守須」のニックネームは「モーリス・ルブラン」ではなく、「ヴァン・ダイン」だったのね。確かに守須だからモーリスと勝手に思い込んでいました。
やられた。綾辻行人やるねぇ。最初のヘンなニックネームでうんざりさせたことも、ある意味叙述トリックだったのかと思うとすごい作品だ。
しかし、最後のエピローグのくだりはどうなのだろう? ガラス壜って何だ?どこででてきたの? 知り合いに尋ねると、「プロローグで出てきたじゃない」と言われました。
ああ、確かにでてきてるねぇ。でもなぁ・・・おそらく多くの人が感じている事だろうと思うが、やはり最後は、「ヴァン・ダインです」で終わった方が良かったのでは?
まぁあれやこれやですが、結論を言うと非常に面白かった、楽しめた、というか驚かせていただきました。わずか一行で全てをひっくり返し、かつ全てを悟らせる仕掛けには完敗です。参りました。
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