概要
1932年刊行のポアロ長編33作中6作目。
舞台となるセント・ルーは、アガサ・クリスティーの生家があるトーキーを思わせます。ポアロたちが泊まるマジェスティック・ホテルは、実在のインペリアル・ホテル、ニックが住むエンド・ハウスは、ロックエンド邸がモデルになっているそうです。
あらすじ
エンド・ハウスの女主人であるニック・バックレイは、何度も命を狙われる。なぜ彼女は命を狙われるのか? ふとしたことで彼女と知り合ったポアロとヘイスティングズは、彼女を守ろうと考えるが…
5項目評価
ストーリー(8点)
保養地のホテルで休暇中のポアロが、若い女性ニックの「三度も命を狙われた」という告白を受け、 彼女を守ろうとするところから物語が始まります。 事件は次第に複雑化し、さまざな要素が絡み合うクリスティーらしい濃密な構成。 レビューでも「後半の展開が一気に面白くなる」「大団円が見事」と高評価。
意外性(9点)
読者レビューでは 「犯人は意外だった」「まさかの人物」「最後のどんでん返しが見事」 という声が非常に多い。 タイムズ紙も「極めて独創的で最高水準」と評価しており、 犯人の狡猾さが作品の大きな魅力になっている。
キャラクター(9点)
- ポアロ:引退後の休暇中という設定だが、事件に巻き込まれ翻弄される姿が魅力。
- ヘイスティングズ:読者の視点誘導役として健在で、掛け合いがコミカル。
- ニック:魅力的だが危うい若い女性として強い存在感。
レビューでも「キャラが生き生き」「ポアロらしさが詰まっている」と高評価。
ユーモア(8点)
レビューで繰り返し指摘されているように、 「タイトルほどダークではなく、軽快でコミカル」 降霊術のシーンは特に人気で、 「笑った」「無茶振りが面白い」という声が多い。
トリック(8点)
批評家は「数学的なまでに整然としたパズル」と高く評価。 読者レビューでも 「フェアである」「伏線が巧妙」「最後の解決で全てがつながる」 という声が多く、 派手な物理トリックではなく“嘘と印象操作”を軸にした構造が特徴。 クリスティーの「人間の印象を利用するトリック」の代表例といえる。
登場人物
- ニック・バックレイ(エンド・ハウスの女主人)
- マギー・バックレイ(ニックの従妹)
- チャールズ・ヴァイス(ニックの従兄・弁護士)
- エレン・ウィルスン(エンド・ハウスのメイド)
- ウイリアム(エレンの夫・園丁)
- アルフレッド(エレンの息子)
- バート・クロフト(番小屋の住人)
- ミルドレッド(バートの妻)
- フレデリカ・ライス(ニックの友人)
- ジョージ・チャレンジャー(海軍中佐)
- ジム・ラザラス(美術商)
- マイケル・シートン(飛行家)
- グレアム(医師)
ニック・バックレイのキャラがいいですね。「七つの時計」のバンドルや、「三幕の殺人」のエッグといった、クリスティーお得意の元気な女の子という雰囲気です。ただ、それ以外の人物は薄味ですかね。ニックが輝き過ぎているとも言えますが…
みどころ
主人公(?)のニック・バックレイが魅力的です。特に最初にポアロと出会うところや、その後エンドハウスで会談しているあたりの、今どきの女の子という感じが面白いです。
ポアロが真剣に話をしているのに、真に受けず軽く返してしまい、それに対してポアロがまたイライラしてしまうというところなんて、なかなかの場面です。
100年ほど前の作品になりますが、そんな作品の中でも「今どきの若いやつは…」みたいな描写があるのがいいですね。世の中技術は進歩しても、人間の中身はそんなに変わらないものだと思い知らされます。
トリックについて
トリックや、意外な犯人というのもあります。ですが、これは何というのでしょうか、よくあるやつというか衝撃は少なめかなぁ。クリスティーの力があれば、もう少しうまく隠すことができたのではないかとも思いました。
感想
マギー・バックレイの描写がもっと欲しかった。しかし、それはそれで難しいのかも。あれくらいで丁度いいのかもしれません。とはいえ、その関係で犯人に対する怖さや、死んだ人や、残された人達に対する悲しみなんかが、やや薄く感じます。
最初のポアロとヘイスティングズとのたわいもない会話の内容が、実は事件のカギになっているなど、2回目に読み直すと気づく点がいろいろあります。そういったクリスティーらしさというのは十分に楽しめる作品だと思います。
絶対に読むべきとまではいきませんが、読んで損はない作品であることは間違いありません。
またこの作品は「イーデン・フィルポッツに─」という献辞があります。「赤毛のレドメイン家」の作者、イーデン・フィルポッツです。好きな作家なので、関係ないけど少しうれしい。




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