概要
1932年刊行のポアロ長編33作中6作目。
舞台となるセント・ルーは、アガサ・クリスティーの生家があるトーキーを思わせます。ポアロたちが泊まるマジェスティック・ホテルは、実在のインペリアル・ホテル、ニックが住むエンド・ハウスは、ロックエンド邸がモデルになっているそうです。
個人的評価
あらすじ
エンド・ハウスの女主人であるニック・バックレイは、何度も命を狙われる。なぜ彼女は命を狙われるのか? ふとしたことで彼女と知り合ったポアロとヘイスティングズは、彼女を守ろうと考えるが…
登場人物
- ニック・バックレイ(エンド・ハウスの女主人)
- マギー・バックレイ(ニックの従妹)
- チャールズ・ヴァイス(ニックの従兄・弁護士)
- エレン・ウィルスン(エンド・ハウスのメイド)
- ウイリアム(エレンの夫・園丁)
- アルフレッド(エレンの息子)
- バート・クロフト(番小屋の住人)
- ミルドレッド(バートの妻)
- フレデリカ・ライス(ニックの友人)
- ジョージ・チャレンジャー(海軍中佐)
- ジム・ラザラス(美術商)
- マイケル・シートン(飛行家)
- グレアム(医師)
ニック・バックレイのキャラがいいですね。「七つの時計」のバンドルや、「三幕の殺人」のエッグといった、クリスティーお得意の元気な女の子という雰囲気です。ただ、それ以外の人物は薄味ですかね。ニックが輝き過ぎているとも言えますが…
みどころ
主人公(?)のニック・バックレイが魅力的です。特に最初にポアロと出会うところや、その後エンドハウスで会談しているあたりの、今どきの女の子という感じが面白いです。
ポアロが真剣に話をしているのに、真に受けず軽く返してしまい、それに対してポアロがまたイライラしてしまうというところなんて、なかなかの場面です。
100年ほど前の作品になりますが、そんな作品の中でも「今どきの若いやつは…」みたいな描写があるのがいいですね。世の中技術は進歩しても、人間の中身はそんなに変わらないものだと思い知らされます。
トリックについて
トリックや、意外な犯人というのもあります。ですが、これは何というのでしょうか、よくあるやつというか衝撃は少なめかなぁ。クリスティーの力があれば、もう少しうまく隠すことができたのではないかとも思いました。
感想
マギー・バックレイの描写がもっと欲しかった。しかし、それはそれで難しいのかも。あれくらいで丁度いいのかもしれません。とはいえ、その関係で犯人に対する怖さや、死んだ人や、残された人達に対する悲しみなんかが、やや薄く感じます。
最初のポアロとヘイスティングズとのたわいもない会話の内容が、実は事件のカギになっているなど、2回目に読み直すと気づく点がいろいろあります。そういったクリスティーらしさというのは十分に楽しめる作品だと思います。
絶対に読むべきとまではいきませんが、読んで損はない作品であることは間違いありません。
またこの作品は「イーデン・フィルポッツに─」という献辞があります。「赤毛のレドメイン家」の作者、イーデン・フィルポッツです。好きな作家なので、関係ないけど少しうれしい。
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