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邪悪の家アガサ・クリスティー 感想

3.5
邪悪の家 アガサ・クリスティー

概要とあらすじ

1932年刊行のポアロものとしては33作中6作目の作品。有名どころで言えば「アクロイド殺し」と「オリエント急行の殺人」の間に入る初期の作品になります。

エンドハウスの女主人であるニックは、何度も命を狙われた。なぜ彼女は命を狙われるのか? ふとしたことで彼女と知り合ったポアロとヘイスティングズは、彼女を守ろうと考えるが…という話。

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みどころ

主人公(?)のニック・バックレイが魅力的です。特に最初にポアロと出会うところや、その後エンドハウスで会談しているあたりの、今どきの女の子という感じが面白いです。

ポアロが真剣に話をしているのに、真に受けず軽く返してしまい、それに対してポアロがまたイライラしてしまうというところなんて、なかなかの場面です。

100年ほど前の作品になりますが、そんな作品の中でも「今どきの若いやつは…」みたいな描写があるのがいいですね。世の中技術は進歩しても、人間の中身はそんなに変わらないものだと思い知らされます。

トリックについて

トリックや意外な犯人というのもありますが、これは何というのでしょうか、よくあるやつというか衝撃は少なめ。クリスティーの力があればもう少しうまく隠すことができたのではないかとも思いました。

感想

マギー・バックレイの描写がもっと欲しかった。しかし、それはそれで難しいのかも。あれくらいで丁度いいのかもしれません。とはいえ、その関係で犯人に対する怖さや、死んだ人や残された人達に対する悲しみなんかが、やや薄く感じます。

最初のポアロとヘイスティングズとのたわいもない会話の内容が、実は事件のカギになっているなど、2回目に読み直すと気づく点がいろいろあります。そういったクリスティーらしさというのは十分に楽しめる作品だと思います。

絶対に読むべきとまではいきませんが、読んで損はない作品であることは間違いありません。

またこの作品は「イーデン・フィルポッツに─」という献辞があります。「赤毛のレドメイン家」の作者、イーデン・フィルポッツです。好きな作家なので、関係ないけど少しうれしい。

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